JAMDAブログ

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2006年12月27日

[  第35回日本マネキンディスプレイ商工組合(JAMDA)海外研修ツアー
2006年12月1日~6日 ニューヨーククリスマスディスプレイ視察レポート集  ]

●12月1日(金)曇り時々雨

成田空港を出発して約12、5時間後、私達はJFK国際空港に到着した。入国手続きを済ませ、空港の外に出る。着陸前の機内では、NYの気温は摂氏14度とアナウンスされていた。NYの冬は寒さが厳しいと聞いて厚着をしてきた為、少し汗ばむ程暖かく感じる。

一行はバスに乗り、空港から約40分、クイーンズ・ボロ・ブリッジを渡り、マンハッタンの中心部、ミッドタウンに差し掛かった。窓の外にセントラルパークが見える。あいにく小雨混じりの天気でジョギング、サイクリングなどを楽しんでいる人々は見られないが、観光客相手の白い馬車が摩天楼と言われるビル群とはアンバランスな光景だ。

初日の予定は、サウスストリートシーポートなどロウアーマンハッタンを中心に、NY在住歴36年の岩田氏の案内で視察する。このエリアには、ウォール街やワールドトレードセンター跡地の「グランドゼロ」があり、そして現在工事中のバッテリーパーク越しにアメリカ独立100周年を記念してフランスから贈られたNYのシンボル「自由の女神」が見える。

数年前訪れた時のワールドトレードセンターはとても壮大な印象だったが、しかし今はその姿もなく、高層ビル群の合間、そこだけ切り取られたように空いた場所では再建計画が進行中である。2010年に完成予定で、メモリアルプラザと呼ばれる祈念スペースを中心に5つのタワーが建設されるそうだ。事件当時の写真が展示されており、訪れる人々も絶えることはない。帰国便の機内では、映画「ワールドトレードセンター」が上映されていた。実話をもとに港湾局警察官などの救出劇を描いているのだが、現在確認作業が中止されたワールドトレードセンターの残骸には、今でも身元の判明出来ていない遺体が相当含まれていると聞く。バッテリーパークをはさんで海側には自由、希望を感じさせる自由の女神、そして陸側には、アメリカ国民の心に深い傷を残したグランドゼロ、何とも言えない複雑な気持ちになる。

19世紀、ニューヨークの玄関港として栄え、現在は観光スポットとなっているサウスストリートシーポート地域は、フルトン・マーケット、サウスストリートシーポートミュージアム、スケルマーホー・ロウ、ピア17、の4つの建物により構成されている。週末にはコンサートが開催されたり、大道芸人のパフォーマンス、そしてNYヤンキースクラブハウスショップ、個性的なショップ、レストランなど休日には多くの家族連れが楽しめる施設が整っている。

ここから見えるロウアーマンハッタンとブルックリンを結ぶブルックリン・ブリッジは夜景の名所としても有名である。この日は天候が良くなかったので、そんな気分にはなれないが、暖かく天気の良い日にはテラスでビールでも飲みながらブルックリン・ブリッジを眺めるのも最高だろう。橋の向こうには、ミッドタウンのビル群が見え、窮屈な摩天楼にはない開放感が味わえた。この橋は1883年当時としては世界最長の吊り橋として誕生したと聞く。橋の上段は徒歩や自転車でも通行可能で、所要時間は30~40分程度、時間があればぜひ渡ってみたい。

日本ではビジネスシーンでの着用をテーマにしたディスプレイが多く見られる。イメージ訴求が容易なのがビジュアルによる表現であるが、その素材として多く使われるのがこの世界金融の中心地であるウォール街である。バスからはニューヨーク証券取引所や連邦準備銀行、それを取り巻くように大手銀行、証券会社のサインが見える。スーツ姿の街ゆく人々も相当仕事が出来そうに感じる。まさにウォール街はビジネスの戦場といった印象である。

ロウアーマンハッタンから北へ移動しチェルシー地区に向かう。まず食品専門店が集まるチェルシー・マーケットに入る。以前ナビスコのビスケット工場であった建物には、ハム、チーズ、ワインなどグルメ御用達ショッピングがまとめて出来そうな店がたくさん入っている。煉瓦作りの古い建物をそのまま利用し、工場であったことをしのばせるインダストリアルなデザインである。料理の鉄人で有名な森本正治氏のレストラン「モリモト」もあり、インテリアデザインは安藤忠雄氏によるものである。

チェルシー地区の南側、NYで最もホットなスポットと評判のエリア、MDP(ミートパッキング・ディストリクト)に向かった。精肉工場のなごりや古い石畳が残る落ち着いた街並みと、エッジのきいた店が立ち並び独特の雰囲気を醸し出している。その反面、常連客でなければ気軽に入りにくい店も多い。日本ではありえないが、ショップ近くの工場から吊り下げられた牛肉をトラックに積み込んでいるところも見られた。有名なのがアーネスト・ソーンコンセプトショップのアン・アーネスト・カット&ソーである。店内は古き良きアメリカのジェネラル・ストアをイメージした落ち着いた温かみのある雰囲気を持ち、カスタムオーダー出来るジーンズ、バック、ベルト、靴などが揃っている。通りには映画の撮影だろうか大型のロケバスが数台止まっていた。

初日の視察を終え、宿泊先であるパークサウスホテルに到着した。1906年に建てられた8階建てのコンパクトなホテルだが、近年改装した様子で綺麗な内装であった。難を言えば、ミッドタウン、セントラルパーク南エリアのホテルの多い地域からは離れており、空いた時間にリサーチに出かけるのは難しい立地である。この時期、予約が取りにくく室料が高額なマンハッタンのホテル事情を考慮すればしかたのない事だ。しかし28STからとても近く、移動の際に地下鉄を利用するには便利な場所である。ホテル到着直後、数組、ツインではなくダブルの部屋をブッキングされていたというトラブルが発生した。岩田氏によればホテルの従業員に少し意地悪をされたと言っていたが、日本では考えられない出来事である。最終的にはシングルユースでいく晩か過ごし事なきを得た。

チェックインを済ませ、部屋に運ばれた荷物を整理し、夕食の為、全員ロビーに集合する。ホテル近くのイタリアンレストラン「Da′Giulio」での食事である。店内は私達だけでほぼ満席になる程こじんまりとした広さで、メイン料理は牛肉にトマトソースとチーズで味付けしたものであった。同業他社どうしの食事で、最初はやや重々しい空気が流れたが、アルコールも入り、夕食の終わる頃にはとても友好的な関係?になれたように思えた。

●12月2日(土)晴れ

ホテルを9時に出発し、バスで郊外に向かう。ガーデン・ステイツ・モール、世界最大規模のウッドベリーコモン・プレミアムアウトレット、スーパーリージョナルSCウェストチェスターなどを訪問予定である。

最初に到着したガーデン・ステイツ・モールでは、日本でも流行のホリスター、アバクロンビー&フィッチそしてNYではまだここだけしかなく、キャリーバッグがとても凝っているというRUEHLをリサーチした。この3店舗に共通するのは店内の照明がかなり暗く、店員もどこにいるのか分からないという事である。どのブランドも商品に洗いをかけユーズド感を出し、くすんだ色合いが多いのだが、Tシャツ、スウェットなどグレーなのかサックスなのか見分けがつかない程である。そして数十分後、集合場所には、ほぼ全員焦げ茶色のRUEHLの袋を下げていた。

次に向かったのは日本でも展開しているチェルシーグループのウッドベリーコモン・プレミアムアウトレットである。世界最大級と称するだけあって日本のものとは比べものにはならない広さだ。オープン形式のモールにはシャネル、グッチ、D&G他、216店舗もあり、一日で全ての店を回るのは不可能である。限られた時間内で効率良く買い物をするため、各人配られた店舗リストをバスの中で確認し、到着してすぐ、案内所でディスカウントクーポンを受け取り、目当てのブランドの店に急いでいた。

高級住宅地近くにあるSCウェスト・チェスターは百貨店ニーマンマーカス、ノードストロームを中心にバーニーズ・ニューヨーク・コープ、ブルックスブラザース、クレイト&バレルなど150以上の専門店を有する。ソーホーにもあるアンソロポロジーの入り口には、ディスプレイを兼ねて十数本のツリーが置かれている。

視察を終えホテルに戻り、同社メンバーと夕食場所を検討する。やはりNYに来たのならオイスターバーに行くべきだと言う事になり、グランドセントラル駅構内のオイスターバー&レストランに向うことにした。グランドセントラル駅の中央コンコースでは、天井や壁面全体に雪の結晶や星条旗などの映像が大がかりに映し出され、とても幻想的で時間を忘れてしまうほどである。オイスターバー&レストランは週末の為もあってかなり混雑している。待ち時間は1時間程らしい。名前と人数を告げ、ウエィティングバーでビールを飲みながら時間を潰すことにする。1時間後、どうにかテーブルに着くことが出来た。生かきだけでも30種類以上あるため、種類はウエイターに任せ、手始めに生かきを15個、ロブスター2匹、ビール、ワインなどを注文した。大皿にクラッシュアイスを乗せその上に並べられた大小の生かきは、臭みもなくあっと言う間に無くなった。一番大きく人気のあった生かきを15個追加注文ことにする。精算時の明細を見て分かったのだが、追加注文した生かきは日本産なのか「kumamoto」と書いてあった。

NYのクリスマスはミッドタウンにあるロックフェラー・センターのクリスマスツリー抜きでは語れない。オイスターバー&レストランズでの食事に満足した私達は、イルミネーションの点灯されたクリスマスツリーを見に行く事にした。ホリデーシーズンの為もあって周りは観光客で溢れ返っている。しかし3万個のイルミネーションが飾られた高さ30mのもみの木と、シンボルである万国旗、プロメテウス像がロマンティックで幻想的な雰囲気を醸し出している。その後ホテル近くのグラマシー地区にあるジャズ・スタンダードというジャズクラブへ行き1日を終えた。

●12月3日(日)晴れ

本日は終日フリータイム。しかし夜にはツアーメンバー全員での食事が予定されている為、遅くても午後6時30分にはホテルに戻らなければならない。慢性的に交通渋滞しているマンハッタンで、事前に計画していた視察場所を効率良く回るには、バス、地下鉄、タクシー、徒歩など移動手段の選択が重要となってくる。

午前8時15分、ホテルで朝食を済ませ、一人、28STより地下鉄に乗り込む。カフェなど一部を除いて、日曜日、NYの殆どの店は11時以降にオープンする。しかし9時には現地に到着しなければなない理由があった。目的地は9時より開催されているマンハッタン最大のフリーマーケット、ヘルズキッチン・フレアマーケットである。陶器、ガラス細工、玩具、洋服、アンティーク家具などガラクタと言えばそれまでだが、1950年~70年代のアンティーク雑貨が安価で手に入ればもうけものだ。目的地に到着すると、すでに50人ほど店を回っているのが見えた。出遅れたと思い、足早にすべての店をチェックする。ひととおり店の商品を確認後、時計を売っている店に行くと、店主が愛想良く箱から出した商品を勧める。手にとってみると日本のメーカーのもので、しかも明らかにユーズド品なのに新品だと言っている。この店主は要注意だと思い早々に立ち去った。大きくて日本には持ち帰れなくて残念だが、安価でユニークなデザインの家具など掘り出し物が豊富にあった。約1時間半ほど見て回り、最終的にはブリキ製の雑貨を5点、総額25$で購入した。

再び地下鉄に乗り、ソーホーを目指し南下する。地下鉄Prince.Stを出たところで、ミネラルウォーターを購入する為ディーン&デルーカに入る。日本にも支店のある高級食材店である。肉、野菜、チーズ、パスタ、パンなどを売っているが、人気があるのは注文してから作ってくれる巻き寿司だ。寿司を握っているのは中国系の寿司職人である。しばらく観察していてある点に気づいたのだが、作られた巻き寿司には、ほとんど海苔が巻いていない。どうやらニューヨーカー達に海苔は人気がないらしい。あまり長居してはいられないので、ミネラルウォーターと土産用に「Dean&Deluca」のロゴ入りチョコレートをいくつか購入し店を出た。

2006年11月、ソーホーにオープンしたユニクロ。開店の11時まで10分前だが、20人ほど店の前で待っている。店内に入ってみて驚いた。天井が相当高く、またその高さを利用した壁面什器には天井まで目一杯商品が陳列されている。1階入り口に並べられたマネキンはターンテーブルで回転させ、中央什器の上には大きな動物のぬいぐるみを置いたり、マネキンに同系色の商品を何枚も重ね着させ、同色の長靴を履かせるなどインパクトのある演出をしている。またこれも演出のひとつなのか2階メンズフロアには「Kawasaki」の実物のバイクが置かれている。オールドネイビー、H&M、GAPなど競合の多いNYで日本発ユニクロの活躍を期待したい。

チェルシーやアッパーウエストにも路面店のあるバーニーズ・ニューヨーク・コープ。ターゲットをしっかりセグメンテーションし、扱い商品を特化することにより顧客満足を得ている。新人デザイナーの商品や、MDP地区にもあったアーネスト・ソーンやチップ&ペッパーのデニムや、人気のマーク・バイ・マーク・ジェイコブスなどを扱う。バーニーズ・ニューヨーク・コープはマネキンを用いた演出に特徴がある。マネキンを逆さにしたり、肩車をさせたり、この店ではマネキンをブルーに塗装し、まるでミイラのようにいくつものマフラーを全身に巻き付けていた。日本では考えられないような奇抜な演出である。このブルーに塗装されたマネキンは、イーストビレッジのアスタープレイス劇場で上演されている前衛的なミュージカル「ブルーマン・グループ」をイメージしているのだろうか。

自然派志向のセレクトショップ、アンソロポロジーは衣料からインテリア小物、バス用品まで生活提案型の品揃えをしており、重厚感のあるファサードで、種類もまちまちだが古材を利用したと思われる什器類との組み合わせがとても心地よく暖かみのある演出をしている。

いつも来ても楽しい気分にさせてくれるのはオールドネイビーの店内だ。ベビーからジュニアサイズ、ストリート系でリーズナブルな商品構成。棚には商品が山積みされ、アメリカンポップ的なマネキン、POP、キャリーバック、BGMにはフィフティーズの音楽が聞こえてくる。開放的で陽気なアメリカらしい演出である。

アメリカAve、スプリングSt近くの公園ではクリスマス用の樅の木やリースが販売されている。かなり広い家に住んでいるのだろうか、車の荷台に4~5mほどの樅の木を積み込んでいる人を見かけた。百貨店やインテリア雑貨店などでデコレーション用のオーナメントは販売されているが、樅の木が販売されているのは見かけなかった。毎年、このような公園で樅の木を買い、家族で飾り付けをしながらクリスマスを楽しむのだろう。

このソーホー地区では、イギリスのカジュアルブランドのリス、ロンドン系クラブファッションのフライング・エー、セレクトショップのアーバン・アウトフィッターズ、インターミックス、スクープ、カーナ・ザペット、スケーター御用達のストリートカジュアルのスタック・ハウスなどを中心に回った。

午後1時30分、視察計画は少々遅れぎみだ。ゆっくり昼食もとっていられないので、時間短縮を兼ねてサンドイッチをテイクアウトしようとデリに入った。入ってみるとこれがなかなかおもしろい。最近では日本でも見かけることもあるが、パンと中身の組み合わせが決まったサンドイッチは殆どなく、基本的には全てがカスタムメイドだ。まずパンを選ぶのだが、このパンだけでも食パンのようなものからロールパン、ベーグルなど15種類ほどある。どれにしようか迷っていたが、この店で一番人気があるらしい表面に大粒の塩のついたベーグル選ぶことにした。次にパンに塗るスプレッドにマスタードを選び、中身はレタス、トマト、パストラミを注文した。レジで会計を済ませ店を出て歩きながらひと口食べてみる。とても満足のいく味に気分を良くして次の視察エリアであるノリータに向かった。

ソーホーの東側に位置するノリータは、NYのトレンド発信地で、規模はさほど大きくないがオーナー自らデザインした物や、世界中からセレクトされた感性豊かで個性的な商品を扱い、ハンドメイド感覚の店舗内装など必見すべきショップが数多く存在する。しばらく歩いているとチンパンジーのキャラクターの大きな旗が目に入る。店の中に入ってみると、Tシャツ、バック、小物などすべての商品にこのチンパンジーとその仲間らしい動物のキャラクターが付いている。チンパンジーの名前はジュリアスというらしい。イエローキャブに乗ったジュリアスが胸にプリントされているTシャツはNY限定品であろうか。

プリンスStからアップタウン行きの地下鉄に乗り、14Stユニオン・スクエアで下車する。次の目的地はチェルシーとグラマシー地区の間にあるインテリア、文房具専門店街だ。まず、この時期数千種類はあろうと思われるクリスマス用のデコレーション商品などを扱うABCカーペット&ホームに向かう。店内はクリスマス用材料が所狭しと並べられ、子供たちが、サンタクロースに扮した人物と記念写真を撮影している。この後、便箋、封筒専門店ペーパー・アクセス、キッチン用品からキャンプ用品まで取り扱うHCベッド・バス&ビヨンド、アメリカのキャラクターグッズを扱うリミネッセンスなどを周り、大型書籍店バーンズ&ノーブルでインテリア月刊誌ベターホームズを購入した。

再び地下鉄でアップタウンに向かい、ロックフェラーセンター駅で下車する。次の目的地は高級百貨店サックス・フィフス・アベニューだが、その前にニンテンドー・ワールド・ストアに立ち寄ってみる。NYでもPOKEMONはかなり人気があるらしく多くの商品が並べられている。ここでは派手なビーズを本体に散りばめられたゲーム機DS-liteのNY限定版も販売されていた。

サックス・フィフス・アベニューは1867年創業で、洗練されたキャリアウーマンに人気がある。店内に入ってみて驚いたのだが、一階の化粧品売場は、雪の森の中に迷い込んだように錯覚させるほど、柱から柱へとアーチ状に白く塗装された枝とイルミネーションの組み合わせによってクリスマスの装飾がなされている。

ひととおりサックス・フィフス・アベニューの店内を見て回り、マンハッタンに一店しかないというテニス専門店メイソンズ・テニス・マートに向かう。2006年度優勝のフェデラーやシャラポアの写真が展示され、こじんまりとした店だがUSオープン限定商品を販売している。ハンドタオルにしては高いような気がするが、USオープンのロゴ入りタオルを$20で購入した。

そろそろホテルに戻らなければならい時間だ。少し遠回りになるがセント・パトリック大聖堂を見て帰ることにする。近くにくるとかなり騒々しい。デモなのだろうか、セント・パトリック大聖堂の前ではベネズエラの旗を持った人々が大勢、口々に何か叫んでいる。トラブルに巻き込まれてはと思い足早に立ち去った。

ホテルのロビーにツアーメンバー全員集合し、近くのフレンチレストラン「LA PETIT AUBERGE」向かう。店内に入ってみるとほぼ満席である。もしやブッキングされていなかったのではと思ったが、数分後、2階の部屋へと案内された。食事はパン、サラダ、貝柱のクリームソース煮、魚料理といった内容であった。

食事を終えた後、ブルックリン・ブリッジの夜景を見に行こうという事になりタクシーに乗る。この時間、ダウンタウン向かう道路はかなり空いている。約20分後、橋を渡り、ブルックリン側に到着した。ブルックリン・ブリッジとマンハッタンの夜景、世界的にも有名な眺めである。写真を撮り、待たせてあったタクシーに乗りホテルに戻った。

●12月4日(月)晴れ

本日、午前中はブルーミングデールズ百貨店を公式訪問予定である。ホテル近くの28Stより地下鉄に乗り、59Stで下車する。地下鉄の駅近く、59St、レキシントンAveにこのブルーミングデールズは位置する。ブルーミングデールズは1872年ジョセフ・ブルーミングデールズが創業、メーシーズも含めた全米最大の百貨店フェデレーテッドグループの配下にあり、全米で37店舗展開している。予定の時刻より遅れて到着したのにも関わらず、インターナショナル・マーケッティング・ディレクターのMrs.キャサリンが1階の入り口で笑顔で迎えてくれた。6階にある「LE TRAIN BLEU」というオリエントエキスプレスのダイニングカーを模倣したレストランに案内され、朝食をとりながらMrs.キャサリンの話を伺う。話によると、高級百貨店であるサックス・フィフス・アベニューやニーマンマーカスはこのマンハッタンで約1%、ブルーミングデールズは約7~8%の顧客数を持ち、年間の売り上げに占める割合はこのサンクスギビングデイを含むホリデーシーズン(11月中旬~1月第1週)で60%以上という。またグリーンプログラムという環境問題対策、Celeblate(祝う)をキーワードとして行なわれている様々なプロモーションなど、とても親切に説明してくれた。そして8階から1階まで順に売場の案内を受けプログラムを終了した。

午後はフリータイム。前日、時間の都合で回れなかった5番街、マディソン街を中心としてミッドタウンから72St辺りのアッパーサイドまでリサーチする事にする。5番街にメガストアをオープンしたアバクロンビー&フィッチ。5th Ave側の窓は全て木製のシャッターで閉ざされており中は見えない。店内は相当暗く、1階のガラスケースにはいくつものジーンズをヴィンテージのようにディスプレイしている。Tシャツでも購入しようかと思ったが、キャッシャーの前には20~30人並んでおり断念した。

この付近にはプラダ、ティファニー、ブルガリ、グッチ、ヴィトン、カルティエ、フェラガモなどプレステージブランドのショップが多く集まる。そして1914年創業、顧客リストには世界中のセレブの名前が多く見られ、NYが誇る超高級老舗百貨店のバーグドーフ・グッドマンもある。このバーグドーフ・グッドマンをリサーチしなくてはNYの百貨店は語れないと思い、横にセキュリティーの張り付いたかなり狭い入口ではあるが、少し緊張しながらも店内に入る。重苦しいほど高級感のある内装である。1階はバッグ、アクセサリーが中心で、2階以上にはドルチェ&ガッバーナ、エトロ、グッチなど有名ブランドが入っている。

NYの街は今の時期が最も買い物客で混んでいるという。日本では12月23日~25日がピークとなるが、NYではその前週あたりから休暇をとる人も多く、買い物客も少なくなるという。そのためか5番街にある玩具専門店のF・A・Oシュワルツの前には入店待ちの行列が出来ていた。この店ではゲーム機などよりもぬいぐるみ、人形、ブロック、パズルなどクラシックではあるが夢のある玩具を多く扱っている。

ナイキタウン、クレイト&バレル、カルバンクライン、DKNYなどを見て、最も流行に敏感な百貨店と言われるバーニーズニューヨークに辿り着く。バーニーズ・ニューヨークのウィンドウディスプレイはかなりユニークである。何かを消費者に訴求するというよりも、アーチストの作品表現の場といった感じである。アンディウォーホールの部屋とでもいうべきウィンドウもあった。

アッパーイーストサイドのポロ・ラルフローレン本店のリサーチを最後に、セントラルパーク内の動物園の側を通り、オプショナルツアーの集合場所であるヒルトン・ニューヨークに向かうことにする。

今夜はNYの最後の夜である。事前に申し込んでいたオプショナルツアー「プリシアター&ミュージカルナイト」に出かける予定だ。集合場所から徒歩10分程度の「Maristella」というイタリアンレストランで食事をし、ブロードウェイにあるアンバサダー劇場で午後8時開演の「CHICAGO」というミュージカルを鑑賞した。1920年代のシカゴを舞台に、愛人殺しで逮捕された歌手ロキシーは、マスコミを利用して人気を獲得しようと計画するといった内容のものだ。劇場内は満席で笑いと拍手が絶え間なかった。本場ブロードウェイのミュージカルを満喫した私達は、タクシーでホテルに戻り、そしてNY最後の夜は幕を閉じた。

●12月5日(火)晴れ

ホテルで朝食を早めに済ませ、荷物を持ってロビーに集合する。いよいよ日本へ帰国である。チェックアウトを済ませ、迎えに来たバスに乗り込み、JFK国際空港へ向かう。

出国手続きも比較的スムーズに終わり、搭乗口からJLー005便に乗り込む。座席に着くと疲れが押し寄せ目を閉じた。あっと言う間に過ぎたNYでの日々が思い出される。まだまだやり残した事が沢山あるような気がする。飛行機の窓から遠く霞んだマンハッタンが見えた。

●最後に

今回の研修旅行の企画主旨としまして、NYクリスマスディスプレイの視察というテーマ設定があったにもかかわらず、私個人の行動報告と主観的意見が大半のレポートになってしまった事をお詫び申し上げます。
また旅行会社(株)エー・アイ・ジャパンの奥村氏、現地コーディネイターの岩田氏、ブルーミングデールズ・インターナショナル・マーケッティング・ディレクターのMrs.キャサリン他、今回のJAMDA NY研修旅行で御世話になった方々に心より御礼申し上げます。

2006年12月10日
(株)モードセンター 営業部  橋本 猛

投稿日時:2006-12-27