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川口が初めてマネキンと出会ったのは、京屋の業務内容を知るため、マネキン工程部署、結髪、彩色、生産、原型の開発など全部署を見学した時だ。川口は、何もないところから様々な人の手を通して生まれてくるマネキンに驚き、人が持つ創造性豊かな感性の素晴らしさに感嘆した。 特に、粘土原型の制作を目の当たりにした時の衝撃は、今でも記憶に新しい。静まり返ったアトリエで、かすかに聞こえる音楽とヘラを動かす音、原型作家達が黙々と制作に打ち込んでいる後ろ姿。川口は、まるで憧れの女性に巡り会った様な感動を覚えた。当時、マネキンに関する知識も技術も皆目無かったが、ただ「自分も作りたい」の一心で、1972年京屋に入社することとなった。以来、原型制作一筋に打ち込んできた。 『シャン』などの先鋭的な作風に常に取組み、マネキンを制作し続けるということは、どれだけのマネキンを作ったかではなく、どれほど人を納得させ感動を与え、いかに魅力的な仕事を重ねたか、ということだと川口は語る。
どんな難題にも意欲的に挑戦を繰り返してきたことで自然と培われ、ある日突然「能力の花」の開く瞬間を、何度となく経験した川口は、自身の好きな言葉「形は言葉を凌駕する」をまさしく体現してきた。 「今日も直感を信じ、自分とは何かを考え、更なる新しいマンネリを目指して…」という信念を持つ川口は頑固一徹だが、後進を指導する姿は、まるで兄貴分のような優しさに溢れている。
1994年作 時代を自由に編集するスタイリッシュなレディ
1985〜1988年作 自立した女性の美しさを表現
1986〜1988年作 クラシカルエレガンス
1996年作 エレガントキャリア
1985〜1986年作 自立した女性の美しさをリアルに表現した『シャン』
1988年作 アクティブなポーズと新鮮な表情を持つ
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