マネキンの全て

Maestro 現代巨匠伝

マネキンのすべて 続編1996年〜2000年

マネキンミュージアム

加野正浩(かの・まさひろ)

1946(昭和21年)
生まれ
福島県梁川高校
1970(昭和45年)
(株)七彩入社
1982(昭和57年)
イッセイ・ミヤケ「スペクタクル・ボディワークス」の、
「人体モデル」原型制作に取り組む
1985(昭和60年)
七彩マネキン史を飾る『REY』シリーズ発表
その後毎年、婦人リアルマネキンシリーズを中心に新作を発表現在に至る

加野が七彩に入社した1970年代初頭は、百貨店の売場がマネキンから什器中心へと転換した時代であった。 そうした中で加野は、創作型リアルマネキンの造形表現に卓越した才能を発揮し、リアルマネキンシリーズに独自な世界を確立していった。

しかし、加野が才能を飛躍させた契機は、1970年代後半から始まった、ファッションデザイナーの三宅一生氏とのコラボレーションであった。中でも1982年に、アートディレクターの毛利臣男氏のディレクションにより、加野が原型を担当したイッセイ・ミヤケ「スペクタクル・ボディワークス」の「人体モデル」は、それまでのマネキンの概念を覆す画期的なスタイルであった。この刺激的な経験の2年後に加野が創り出したシリーズが、七彩マネキン史を飾る婦人リアルマネキン『REY』である。加野の時代を読む感覚は鋭く、何気ない一言に反応し、マネキン像を描き出す。そしてリアルマネキンの生命線である顔の創作性は天才的である。『REY』シリーズ以降、数々のヒットシリーズを発表してきたが、何れも顔の表現に時代感覚を感じさせる。それは、一切モデルを用いない、創作性と造形力の高さを誇る日本型リアルマネキンの典型に他ならない。『REY』シリーズを発表してから4分の1世紀が過ぎ、加野が七彩でマネキンを制作し始めて、早40年の歳月が流れた。 相変わらず、もの静かで控え目な風貌の加野だが、時代の先端を捉えようとする執念は、些かも衰えを感じさせない。

1983年 「スペクタクル・ボディワークス」

1985年作 婦人リアルマネキン『REY』

2002年作 婦人リアルマネキン

1983年作 ティーンズリアルマネキン