マネキンの全て

Maestro 現代巨匠伝

マネキンのすべて 続編1996年〜2000年

マネキンミュージアム

地主 力(じぬし・つとむ)

1948(昭和23年)
山形県鶴岡市生まれ
1952(昭和27年)
新潟県糸魚川市に移り、県立糸魚川高校を卒業
1968(昭和43年)
武蔵野美術大学 別科 実技専修科 油絵専攻に入学
1972(昭和47年)
(株)平和マネキンに入社
1977(昭和52年)
ベルギーのジョン・ニッセン社に研究視察
1984(昭和59年)
ユーロ・ショップに『LE(ERNA)』シリーズを、
ジョン・ニッセン社と共同出展をする
1987(昭和62年)
ヨーロッパ研修
1990(平成 2年)
ヨーロッパ研修
1992(平成 4年)
ニュー・ジョン・ニッセン社(平和マネキン合弁会社)で、研究制作のため
ベルギーに滞在する
1996(平成 8年)
ヨーロッパ研修
2002(平成14年)
ヨーロッパ研修
ニュー・ジョン・ニッセン社にて研究制作
2003(平成15年)
中国・上海研修
2008(平成20年)
ヨーロッパ研修
2011(平成23年)
現在、執行役員/マネキン研究室室長

予備校の講師から彫刻科を勧められた地主は、長年培って来た油絵から離れられずにいたが、大学時代には彫塑同好会に入会し、彫刻の指導を受けていた。 卒業が間近に迫ったころ、生計を立てる事の必然性に気付き、昔から憧れと興味を持っていた、マネキンの原型師という就職を思い立った。しかし、専攻の違いから就職活動は思うようにはかどらず焦心の日々を送る地主に、専攻を問わない平和マネキンへの道が開かれた。

原型師として採用が決定した地主が、大学の後輩にその事を伝えると、「マネキンと言えばデザインでしょ。大丈夫ですか?」と問い返された。当時の地主は、マネキンをデザインとは捉えておらず、後々その必要性を思い知る事となった。「マネキンは、街を彩る佇まいとして世界的に認知され、必要とされ、心を豊かにする文化だ」というのが原型師地主の心情である。 詩人、吉野弘の「美しいひとよ あなたの美しさはあなたのものに相違ないけれど あなただけの所有ではなく」で始まる『ひとに』という作品がある。地主は、この詩の中に、自分自身のマネキンへの想いや考え方、仕事へのモチベーションが表現されていると言う。

『リリコ』シリーズなどの大ヒットを生み出して来た地主は、そんな想いを胸に、永く愛され、佇まいを感じるマネキンを、これからも作り続けて行く。

2001年作 夏をイメージした婦人マネキン

1999年作 ゆるやかなダンスをイメージ

2010年作 シニアの優雅さを表現

1994年作 アダルトで気品のある女性を表現

1990年作 内からのエステティックをイメージ

3人の美しい女性に囲まれた幸せな男