JAMDAブログ

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2010年01月14日

[  第38回JAMDA海外視察イギリスロンドンレポート  ]

イギリスは今回初めて訪れる国で、デザインや経済の中でも先端を行く国への視察は大変興味深いものでした。

【 12/9(水) 】

国際線利用者数世界一の「ヒースロー空港」に到着。空港は特別活気がある訳でもありませんでしたが、天井を間接照明でダイナミックな紫色で演出する色彩感覚が印象的でした。

この時期のイギリスは日の出が8時前で日没が16時前と日照時間が短ため、ホテルに到着した17時頃はすっかり暗くなっていました。ホテルは100年~200年程前からの建物が現存しているHigh street Kensington地域に位置していました。 安価な建材でバラバラな街並みとなっている日本とは違い、レンガ調で統一され同じ程度のエイジングが掛かっている力強い街並みを形成していました。

ホテルでの夕食後周辺を散策しましたが、街灯やネオンが少ない暗い街並にクリスマス装飾で映え幻想的な風景となっていました。やはり、日本の商業ベースから発生したクリスマスと違い宗教行事のイギリスとでは装飾の取り組み方にも相違を感じました。


【 12/10(木) 】


午前中「BLUE WATER SC」視察を行いました。環境保全をテーマにしている事から地場材のチョークを使用した外壁や共通空間と特色ある環境でしたが、テナント自体は他商業施設と代わり映えを感じられませんでした。
イギリスではクリスマスに平均5個プレゼントをする風習がある為か平日にも関わらず客入りが多く活気あるものでした。


午後には「WEST FIELD」を視察しました。
ロンドン中心部の近くにあるSCと言う事もありハイブランドも入店していましたが、世界不況の影響か人もまばらで、日本同様ファストファッションが旋風しているように感じられました。

【 12/11(金) 】

夕方まで自由研修でしたので、タワーブリッジまで地下鉄で行き、そこからホテルまでを散策しました。観光名所として一番印象的だったのが「セントポール大聖堂」でした。 バロック建築の華やかな装飾/100mある内部吹き抜けのスケール感/ステンドグラスを通した光
などまさに非現実的な神掛かった空間は圧巻でした。

また、ボンドストリート、リージェントストリート、オックスフォードストリートとロンドンの主要ストリートを散策しましたが、どこも人を追い越せないくらいの賑わいで年間売り上げの50%を稼ぐと言うクリスマスの脅威を肌で感じました。 中でもハロッズデパートは100年以上の歴史を持つだけあり、博物館のようなエジプシャンホールは購買意欲をかき立てる内装でした。 ウィンドディスプレイは「オズの魔法使い」をテーマにした装飾でコンセプトがはっきりした解り易い展示でした。

【 12/12(土) 】

午前中「大英博物館」を視察しました。 ノーマン・フォスター設計によるエントランスは書物でもよく目にしていましたが、実際体感した白一色のアトリウム空間は忘れる事は無いと思います。 約15万点の展示品は一日ではとても見切れませんでしたが、ほとんどが国内の物では無く大英帝国時代の植民地の物ばかりで国の威厳を保つ目的のように感じられました。 今後返還運動も大きくなっていくのでしょうか。

【 12/13(日) 】

13時間のフライトで帰国。 海外に行くと逆に日本の事を違った目線で考え直す事が出来ました。

まず、グローバル化により商業施設が画一化していると思います。 SC共用環境の違いは多少あるにしても、テナント内装デザインは日本とあまり変化を感じられませんでした。 日本同様元気なのはH&MやMANGOなどファストファッションでユニクロが14店舗イギリスにも展開していて馴染んできていました。

また、街並の環境保全に力を入れている点は見習うべきだと思います。 テムズ河を挟んだ対岸は近代的なビルが立ち並び何処の国にも良く有る風景でしたが、ロンドン側は昔の街並みが規制で残され魅力有る風景となっています。 日本ですと一部観光地が保全されている程度で、人の生活が生きていない展示場のような場所になってしまっていると思います。 やはり街並みはその国の魅力であり、保全すべき課題だと思いました。

厳しい状況の中JAMDA海外視察に参加させて頂きまして弊社南会長、岸本社長を初め皆様方に御礼を申し上げます。この実りある経験を仕事に生かし邁進して参ります。 有り難うございました。


株式会社アディスミューズ 設計部 池田直樹

投稿日時:2010-01-14