JAMDAブログ

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2016年02月10日

[  表舞台を支える黒衣たち~挑み続けるマネキン~【繊研新聞 掲載】  ]

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繊研新聞 2016年2月4日(木)、5日(金)に掲載されました。
無断で転載することを禁じます。


表舞台を支える黒衣たち 挑み続けるマネキン(上)
繊研新聞 2016年2月4日(木)掲載

売り場を華やかに面白く

マネキンは挑み続けなければ生き残れない。昨今、控えめなデザインのマネキンが売り場の主流だが、ここにきて「独自性を出すために、意匠を凝らしたマネキンに再び関心が寄せられている」とマネキンメーカーは口をそろえる。リアルな造形など挑戦的な新作も相次ぎ、潮目の変化が表れている。バブル崩壊以降、マネキン・ディスプレー業界は店舗経費削減のあおりを受け、20年以上にもおよぶ”冬の時代”を耐えてきた。ファッション業界を支えてきた”黒衣”たちは今、どう変わろうとしているのか迫った。
(小堀真嗣)

振り向かせたい
「新しいチャレンジを続け、どうにかしてファッション業界を振り向かせたい」。あるマネキンメーカーの原型師は、そう話す。マネキン原型師を抱える日本のメーカーは販促ツールとしての役割とともに造形美やユニークさを水球し続けている。

今のメーンは、表情の乏しいシンプルな抽象マネキンや、ヘッドレスマネキン、ボディーだ。それでも、メーカーはリアルマネキンをはじめ創意工夫に飛んだ物作りに取り組んできた。ショーウインドーや売り場を華やかに、面白く、そして服が売れる演出をサポートするためだ。

華やかなファッションの表舞台は、こうしたマネキンメーカーが支えてきた。その中心的な役割を果たしてきたのが、業界団体の日本マネキンディスプレイ商工組合(JAMDA=ジャムダ)だ。JAMDAの末次宏憲理事町(平和マネキン社長)は、「我々の業界はマネキン・什器を提供するだけではない」と強調する。「VMDにあったマネキン・什器のしれ替えなど、店舗の開業後も商空間運営のあらゆる支援をしてきた」と語る。

日本独自の仕組み
代表的な例が、日本独自のマネキン・什器のレンタルサービスだ。「レンタルの一番の利点は、ディスプレーに飽きた頃、新しい物に無償で取り替えられること」(末次理事長)。

レンタルを利用すれば、購入するよりも初期投資を抑えられ、メンテナンスサービスがあり、保管スペースも提供する。廃棄も請け負うため、トータルの運用コストは抑制できる。このため、マネキンメーカー各社は日本全国に営業所を設け、人員を配置し、主に自社物流で適時適品を供給している。

日本のファッション売り場がシーズンに適したディスプレーに次々と移り変わるのは、JAMDAが推進してきた日本独自のレンタルサービスがあってこそ。「マネキン・什器を正しく使って店舗の集客、売り上げが上がるよう、VMDも含めてお客様と一緒になって考え、提供する。そこまでがレンタルサービスの役目」。連宅が軸のビジネスモデルを成り立たせたことで、メーカーは、技術、感性を磨き続けることもできた。

マネキンレンタルの仕組みは今から60年以上前に始まったと言われる。和装から洋装文化へと変わる中、百貨店での婦人服の販売にマネキンが必要とされ、需要は急増。50年代半ばにはマネキンレンタルサ―ビスは黄金時代を迎える。


表舞台を支える黒衣たち 挑み続けるマネキン(下)
繊研新聞 2016年2月5日(金)掲載

支える存在であり続けたい

マネキンレンタルサービスの活況は長く続かなかった。高度経済成長期、量販店の台頭に伴ってマネキンの価格競争が進んだからだ。この頃、KAMDA(日本マネキンディスプレイ商工組合)の前身となる業界の”親睦団体”が生まれた。

腹を割って話す
最初は京都になる「七彩、ヤマトマネキン、吉忠マネキンの会合から始まった」(トーマネの岩下修造代表取締役会長)という。3社とも日本初のマネキンメーカー、島津マネキンが源流だ。その後、関東社級数のメーカーも加わり、72年に全国組織のJAMDAが発足した。

岩下トーマネ会長によると、「腹を割って話す」会。「競争を続けていても仕方がない。皆で何らかの解決策を見いだす」目的で集まり、「商品かちの向上に努め、価値に見合った価格で出していこう」との方向性で一致。業界の健全な発展を目指し、活動を本格化した。かつてはジャパンショップやIFF(インターナショナル・ファッション・フェア)など見本市への合同出展、マネキンユーザーに対する「物流費のご負担のお願い」に取り組むなど、業界の後方支援に徹してきた。

自然環境に考慮した活動も推進した。マネキンの主要素材であるFRP(繊維強化プラスチック)の再資源化・固形燃料化、廃棄ルートを確立し、「レンタルサービスが自然環境に良い」(JJAMDA)点を継続的にアピールしている。平和マネキンは、マネキンレンタルサービスで環境ラベル「エコリーフ」を取得。メンテナンスによってリユースを繰り返す仕組みが自然環境に良いことを数値的に示した。他のJAMDA加盟企業にもエコリーフの取得を呼びかけ、業界の訴求力を強めたい考えだ。

深刻な模倣問題

とはいえ、バブル崩壊から続く長い不況は、JAMDA加盟企業にも暗い影を落とす。大きな問題は、中国から低価格のマネキンが流入に、売り場に広がっていることだ。

この問題の本質は、JAMDA加盟企業の製品が模倣されることにある。加盟企業は原型師を抱えて企業開発し、レンタルサービスのための搬入・搬出、マネキンの修理などに経費をかけている。「時間と労力を費やして作った自分たちのマネキンが海外メーカーの手に渡り、その型を抜き取りコピーされる」状況への嘆きは大きい。

JAMDAの末次宏憲理事長(平和マネキン社長)は今一度、日本のマネキンの利点をアピールしようとしている。「美術的要素のある手工業的な部分を付加価値としてきた業界だが、もう少し合理化の手段はある。これからも日本製を大切に、造形に優れ、実用的な製品・サービスを提供していきたい」考えだ。
ファッション業界の先行きは不透明なままだが、商品・売り場の魅力を高めようとする動きは確かにある。マネキン・ディスプレー業界は今後も日本のファッションを支える存在であり続けるため、造形力、アイディアにより一層磨きをかける。

投稿日時:2016-02-10